美容外科の豊胸手術には、人体に無害なインプラントと呼ばれるバッグを挿入する方法と、患者様ご自身の脂肪を注入する方法があります。近年、内容物の素材やバッグの耐久性も技術開発により向上し、安心して豊胸術を受けることが可能となりました。豊胸術について、知っておきたい重要なポイントを解説いたします。
1.麻酔方法
局所麻酔、全身麻酔など、患者さんの恐怖心の度合や、豊胸術の手術内容よって使用する麻酔が異なります。手術前の緊張や不安を緩和するリラックス麻酔も効果的です。
【麻酔の種類】
●局所麻酔
末梢神経に局所麻酔を注入して無痛を得るもので、意識は保たれます。高度な技術が必要な硬膜外麻酔は、痛みも少なく安全に手術が可能です。
●全身麻酔
投与された全身麻酔薬が血流によって中枢神経に作用し、無痛をもたらします。通常、意識の消失を伴います。麻酔から醒めた後、不快感が強い場合があり、日帰りできなくなる可能性もあります。
●静脈麻酔
静脈からとった点滴から静脈麻酔薬を注入すると、早い場合、患者さんはものの数秒で眠りについてしまいます。その後ガス麻酔薬で麻酔効果を維持する方法を用いる事があります。
●硬膜外麻酔
背中の硬膜外という箇所に、局所麻酔薬を少量しみこませることで、広範囲(手術範囲限定)の無痛域が得られる麻酔法です。高度な技術が必要ですので、行っているクリニックは非常に少ないものです。
※特種麻酔は美容外科手術で殆ど用いることが無いので省きます。
【豊胸術の方法別麻酔法】
●乳腺下法
全身麻酔及び静脈麻酔を併用します。必要に応じて硬膜外麻酔も使用します。
●大胸筋下法
全身麻酔及び静脈麻酔を併用します。必要に応じて硬膜外麻酔も使用します。
●脂肪幹細胞注入法
脂肪幹細胞注入法は、手術の所要時間が長いため、硬膜外麻酔、全身麻酔及び静脈麻酔を併用します。
●脂肪吸引
範囲が広い脂肪吸引の場合は背骨の間から局所麻酔液(痛み止め)を注入する硬膜外麻酔を用います。少ない麻酔量で広範囲(手術範囲限定)の無痛域が得られる麻酔法です。これは、通常の脂肪吸引でも行いますが、この麻酔法を施行する際に、一瞬「チクッ」とした痛みがあります。「背中から麻酔のお薬を入れる」と患者様に説明すると「怖い」という方も多いので、リラックス麻酔を選択された場合では、日本には数少ない極細の注射針を用いています。さらに、点滴から不安を抑える薬や、痛み止め効果のある薬が入る麻酔法を組み合わせることにより、手術中もリラックスした状態になります。終わってみれば「まったく平気でした」と皆さんおっしゃいます。手術中の記憶もほとんどないので、寝て起きたら手術が終わっているという感じです。
【豊胸手術後の麻酔法と処方薬】
●麻酔テープ
麻酔テープ 「手術後に痛くて眠れなかったらどうしよう?」どなたでもこのような不安が多少なりともあるようです。新開発の麻酔テープは、手術後の痛みに対し鎮痛効果を得ることができます。豊胸手術後は2〜3日、痛みが残りますので、この時期に硬膜外より麻酔液を注入したり、麻酔テープにより痛みの管理をおこないます。
※貼るだけで鎮痛効果を期待できます。
●腫れや痛みを抑える処方薬
処方薬 治療後、感染を予防する薬や脂肪吸引後の腫れを抑える内服薬を処方します。腫れや内出血が少なければ少ないほど、患者様の早期の社会復帰を可能にします。
※腫れや痛みの諸症状に合わせた処方薬を用意いたします。
2.豊胸術の方法
【インプラント豊胸】インプラント(バッグ)を挿入することにより、バストアップを図る豊胸手術です。インプラントはそれぞれ特性がありますので、体質や好みに応じて選択します。近年 インプラントによる豊胸術も技術革新が進み、人体に無害な素材開発と、バッグの耐久性の向上とともに、その安全性も飛躍的に信頼できるものとなりました。
【脂肪注入法】ご自身の痩せたい部分の脂肪を吸引し、その幹細胞を含む脂肪細胞を胸部へ注入することにより、バストアップを図る豊胸術。肥満度の割にバストが小さい方・インプラントなどの異物を入れることに抵抗のある方にお薦めします。感触も動きも通常のバストと殆ど変わらず自然な仕上がりで人に気付かれることも殆どないでしょう。定着するのは、総注入量の2〜3割の脂肪細胞となります。
【ヒアルロン酸注入法】ヒアルロン酸 を注入して形や大きさを整える最先端の豊胸術です。注射による注入なので傷跡の心配がなく、治療直後からバストアップを即実感することができます。感触も動きも通常のバストと殆ど変わらず自然な仕上がり、人に気付かれることも殆どないでしょう。
3.痛みや合併症の対策
【痛みの対処法】現在、麻酔技術や鎮痛技術の向上により、術中・術後のつらい痛みを軽減することが可能になりました。
■術後の痛み
大胸筋下の手術の場合、術後、かなりの痛みが伴います。特に術後1〜3日間は通常の痛め止めではほとんど眠れない方もいるほどです。乳腺下の場合は大胸筋下の約3分の1程度の痛みですが、やはり1〜3日間は痛みがあります。
□対策
硬膜外麻酔よる痛み止めを注入し、痛みを伝える神経を2〜3日麻痺させることにより、ぐっすり眠れるぐらいの鎮痛を施します。また、麻酔シールを3日間 貼布すれば、ほとんど術後の痛みはありません。
【合併症の対策】生理的現象として、プロテーゼ(バッグ)に対し異物反応が生じます。この際プロテーゼの表面にカプセルと呼ばれる被膜が形成されます。このカプセルの拘縮により、プロテーゼが固くなったり、変形、肥厚することがあります。マッサージをすることにより、カプセル拘縮の予防になります。また、手術後、乳首や胸の感触が鈍くなることがあります。多くは半年で治りますが、多少の感覚が低下することがあります。
■被膜硬縮
生体(人体)の異物に対する拒絶反応。異物(バックや注入脂肪)の周りに湯葉のような白い膜(繊維)を形成する。手術後 3週間から3ヶ月を目安にできる場合が多い。薄い場合には問題にならないが、厚くできた場合、胸のさわり心地が硬く感じたり、被膜の波を打った感じが判る場合がある。手術がうまくいっていても、極端に硬縮した場合、変形をおこし 痛みがでるので、バックを取り除かなくてはならない場合もある。
□対策
スムースタイプのバックを使用した場合、被膜によりバックのスペースが狭くなるのを防ぐためマッサージをします。テクスチャードタイプの場合、スムースタイプに比べて被膜硬縮の程度が軽いため軽いマッサージ程度でよいでしょう。
●マッサージと超音波トリートメント
超音波トリートメント
超音波トリートメントによる均一なマッサージで更に予防効果を高められます。
カプセルを薄く維持することで、ソフトな触感とバランスのよい形を保ちます。
術後のアフターケアをしっかり行えば、中等度以上のカプセル拘縮が予防できます。
超音波トリートメント 超音波トリートメントなし
●被膜拘縮を抑制する治療薬
被膜拘縮を抑制する治療薬
Accolate(Zafirlukast)という喘息の治療薬を内服している患者の傷が柔らかくなるという知見が発見されました。これを応用して豊胸先進国アメリカではAccolateとvitaminEとの併用により、豊胸術後の被膜拘縮を抑制する効果が認められています。
■知覚鈍磨
手術後、乳首や胸の感触が鈍くなることがあります。多くは半年で治りますが、多少の感覚が低下することがあります。
□対策
イルミネーター(光源のついた機械)で内部をよく観察し、太い神経を避けて手術を行います。
■バックの位置や大きさの誤差
シミュレーションを行わなかったり、手術中に胸を確認していないと術後バックの位置に不満をもったり、もう少し大きいほうがよかったなどの不満が生じます。
□対策
硬膜外麻酔を用いて 手術中の痛みをとりながら、患者さんの意識を残して 実際に胸をみてもらうことにより誤差をなくします。
■バックの破損
雑な手術操作により、バックに亀裂がはいりパンクする場合と数年後にバックの材質の劣化により、破損する場合がある。破損した場合、新しいバックに入れ替える必要があります。
□対策
丁寧な手術操作を行い、バックの耐久性や信頼性の高いものを使用します。
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